指導と実際のずれ

この日付の朝日新聞朝刊「縦横無尽 指導の反暴力 映像にヒント」より

 

記事によると、元プロ野球選手の桑田にボールを投げてもらい、本人の投球動作の説明と実際の動きと比較すると、両者はぜんぜん違ってたという。

プロでもこのような乖離があるのだから、アマだとなにをかいわんや、である。

この事実が「反暴力」という見出しに結びついているのは訳がある。

 

「イメージと実際の動きには、ずれがある」と柏野氏(引用者注:NTTコミュニケーション科学基礎研究所所属の心理学博士)。つまり、経験則の指導は、体の動きを指導者が思うように仕向けることができなくて当然で、強要や暴力が入りやすくなる。

 ということだそうだ。

本記事の末尾にあった、パラリンピック選手は暴力を受けることがないということについての元代表選手の田口さんの考察も面白かった。

理由は三つ。体の欠損によるクラス分けがあり、「もともと多様性が認められていること」「周囲が選手の能力を分かっていること」。大人になって始めた人が多く、「選手がものが言えること」。

これを裏返すと、多様性を認めず、選手の能力をきちんと知らず、子ども相手や、選手を黙らせるようなところに、暴力が発生しやすいと言うことだ。