お気に入り短歌

この日付の朝日新聞朝刊「歌壇」より。

 

●タピオカが流行といふニューギニアで兵らが食ひし芋とは知らず(吉野川市 喜島さん)

→リゾートしてのサイパンなどと同じように、タピオカにも忘れられている歴史があったとは。私は知らなかった。

 

 

●戦争は国が始めた 供養碑は家族が立てた 蝉しぐれ降る(国立市 加藤さん)

【高野公彦評:一首目、口ごもったような静かな反戦歌】

→戦争のあとしまつ、日本はちゃんと終えていない。国内の戦没者、国外の被爆者、植民地支配や戦争捕虜・虐殺・慰安婦等の精算(金や賠償ではない、国家元首によるちゃんとした謝罪も含め)も。終えていないどころか、敗戦時に燃やしたり壊したりしたものごとに対する追跡調査もしようとしないし、それどころか何も無かったことにしようとする時流に乗るそぶりすら見せる政治家やその周りの人間。自国民の遺骨収集(沖縄・南洋・旧ソ連等々)すらおぼつかない。なんなんでしょうね? 薄っぺらい口だけの謝罪どころか、反省や追悼すらしなくなった。なぜオバマのように、だまって被爆者の方をハグするようなことを、日本の政治家はできないのか。

 

 

●くっきりと監視カメラは写しとる猫の散歩と梢の戦(そよ)ぎ(ひたちなか市 十亀さん)

→「監視カメラ」「戦」の文字が目に飛び込んできてぎょっとしたが、「戦」は「そよぎ」であり、写っているのはねこだった。